いよいよアウトドアのシーズンも目前、そこで安全対策を目的にネットでヒグマ情報を調べていたら、こんな1冊と巡り会った。
大正4年12月、天塩山麓三毛別川付近で起きたヒグマによる日本最大の獣害事件を描いたドキュメンタリー小説「羆嵐(吉村昭著)」だ。
クマというと何となく、『つぶらな瞳、丸みのある身体つきで愛嬌さえある生き物』というイメージを持つ人も少なくないと思うが、この本を読むとそんなイメージは微塵も残らず消えてしまう。
人間のスケールをはるかに超えた巨大な猛獣であり、その前では人間は単なる「食い物」でしかない…。
今年4月に札幌南区の住宅街で若いヒグマが出没し話題となったが、猟友会が射殺するという結末に、テレビ報道を観ていた視聴者から「何も悪いことをしていないのになぜ殺してしまうのか」と、多くの苦情が寄せられたという。しかし一度でもこの「羆嵐」を読むとそんなことは言えなくなってしまうだろう。「いずれエサにされちまってもいいんかい?!」ってなことになってしまう…。
アラスカだったろうか、オオカミの生存する地域では、まだ幼いヒグマをオオカミたちが襲って殺してしまうという。いずれ大きくなり自分たちの生活を脅かす存在になることを恐れての行動らしい。
5月に入ってから北海道の各所でヒグマの出没が報告されている。
山林に立ち入る方はどうかくれぐれもご注意下さい。